慌てず、騒がず、そして冷静に状況を見極めましょう

負け犬の遠吠えかな?

今朝、いつものように「日経朝刊早読み」を書こうと思って、海外市場の動向を見始めて、真面目に驚いた。多少は前週末や東京市場などの余韻で下げて始まるだろうとは思っていたけれど、これほどまでに米国市場が腰を抜かすとはちょっと予想外。

それを受けた東京市場も暴落している中で、「そんなに心配することは無い」というトーンで話していた立場からの発言は、今この刹那は「負け犬の遠吠え」にしか聞こえないかも知れないが、今日のNYはちょっとどうかしていると思う。つまりこの時点では売られ過ぎだろうということ。

今回の株価下落の要因をもう一度再考する

今回の下げのきっかけとなったのは、もう何度も言われているように米国債券市場で金利上昇が見えたこと。この引き金となったのが、雇用統計であり、今朝で言うなら米1月ISM非製造業総合指数が12年半ぶり高水準に上昇したことなどにより、FRBの姿勢がより利上げ基調に変化するだろうと見込まれたことなどによるらしい。(実際に米国市場で売買を昨晩していたわけでは無いので、多くの伝聞から察して”らしい”としか言えない)

金利が上がると、株価の益利回り(PERの逆数)との比較などで、割高だとか、割安だとか言う議論が起こる。ただ筆者はこの考え方はどうにも納得していない。配当利回りとの比較は腑に落ちるが、一株当たりの利益を株価で割って、それを金利と比較することにどんな意味があるのだろうか?どうもしっくりと腹落ちはしない。

そしてその上がる上がると言っている米国金利だが、5%や6%に一気に駆け上がるという話が出ている訳でもなり。

冷静になって考える。何故前週までは「適温相場」などと言いながら株を買ってきたか

なぜ株を買ってきたのかも冷静に考える必要がある。

それは企業業績が良く、この先の見通しも明るく見えていたからに他ならない。事実、先月下旬からの企業の2017Q4の四半期決算はケチをつけるところは少なく、また前FRB議長のイエレン氏も「(米国)経済はとても好調で、非常に力強いと考える」と言っている。

株価の原点は何かと言えば、企業業績だ。業績が上がって、一株当たりの資産が増えて、その動向が今後も続くかどうかが、株価が上がるメカニズムの基本だ。確かに安全資産に分類される債券の利回りと株の益利回りの比較(前述)で、割安割高が論じられることは百も承知しているが、それは現状悲観するほど悪化していない。

マイナス要素を考える

翻って、確かに株価の上昇速度が、このところ速かったことは否めない。充分にその値段の意味を吟味する間も無く、勢いよく駆け上がった。チャートで見ると、特にNYダウなら2017年の後半から海老反るように駆け上がっている。トレンドラインで見ると、まだ上方乖離しているのは事実。

(出所:Bloomberg)

一方、日経平均株価についてみると、2015年前半に同様な海老ぞりがあり、調整後、また2017年後半に反り返っているのは事実。ただ、日本人がエモーショナルであることを差し引けば、5年間のトレンドからそう遠く離れているとは思えない。

(出所:Bloomberg)

本当に気にする程、円高なのですか?

為替の動きについて、まず円高円高と騒ぐような水準では動いていない。取り分け先月下旬の「1ドル107円を視野に円高になる可能性がある」と言われた時とは、だいぶ状況は変わった。筆者としては円が「安全通貨」であると言われることさえが、そもそも納得が言っていない。隣国にロケットマンが居るからという理由だけではなく、そもそもこの人口動態の国の通貨が強い国力のもとに「安全通貨」で居られる理由が無いということだ。だから米株が売られる局面で円が買われるという動きには、どうしても違和感を持ってしまう。念のため、下記のチャートはドル円の過去1年間の動きである。現時点がこの期間の円安上限にいるわけでは無いことは一目瞭然だが、一番円高の状態にあるわけでもない。

(出所:Bloomberg)

そもそもマネーは「金利の低いところから高いところに流れる」という教科書的な大原則がある。日本の新発10年国債の利回りは0.08%に過ぎず、ここから今朝の引け値でも2.72%ある米国にお金が向かわないで、円に向かうという円高論の道理が分からない。日米を比較した時、この金利差を打ち消すほどに、日本円は安全通貨と本当に言えるのだろうか?

そもそも株価の基本は企業業績であり、株価は景気の先行指標だ

企業業績についても同様だ。米国では連邦法人税率を2018年から21%に引き下げる大型減税法案を可決し、これを受けて米国企業の収益動向は完全にベクトルが上を向いている。長期的には人口動態の問題もあるが、日本企業の多くはこの米国景気の回復というか伸長に便乗することが出来る。

最近は株価がマクロに支配される傾向がある。しかし古今東西、経済学の教科書を開いて貰えば、株価は景気の先行指標であり、株価はマクロ指標に隷属するものではない。その意味で言っても、企業業績は改善するとは言えても、今の状態で企業業績が悪化する絵は描きにくい。

リスク・シナリオは何か?

リスクシナリオは何かと言えば、地政学的リスクであったり、異常気象に伴う天変地異を除くと、中国の景気が何らかの理由で大失速することであろう。ただ前者2つについては、手放しで安全というわけには行かないが、目先迫ったリスクを感じさせる状態ではない。

ならば前週末から今日(たぶん本日の日本市場も情けない展開で終わるだろう)に掛けての市場の動きは何だったのか?冷静に、冷静に考えれば、やはり高所恐怖症になった一部の投資家が資金を引き揚げるきっかけが与えられたことにより下げはじめ、あとはプログラム売買などがそれを加速させたとしか思えない。残念ながら、日本市場はその米国市場に釣られ、引っ張られているミラー相場を展開しているだけだ。

結 論

そうこう考えると、今日はモニターをみたり、引け後の株価チェックをしたりするのは単に神経をすり減らすだけの精神衛生上よくないことだけであり、当然にして、投資方針を大きく変えたり、アセットアロケーションを動かす必要などは毛頭ないと結論付けられると思う。