地政学的リスクを地球一回りしてひとまず消化

今朝の日経朝刊(8/29)早読み。朝刊紙面上、地政学的リスク関連の話題と東芝の半導体メモリー事業売却関連の話題を除くと、殆ど他の話題は残らないが、前者について市場は地球を一回りしてくる間に取り敢えず消化したようだ。だが、この地政学的リスクが消えたわけでは全くない。

1. 今朝のNY市場

昨日の日本市場が170円安をつけながらも大引けでは87円安まで戻した流れからか、NY株式市場は終日ほぼ一本調子で回復し、NYダウは+56.97ドル、NASDAQ総合指数も+18.87PTSと上昇して帰ってきた。とは言え、中間の欧州市場は下落したままで一日を終えている。為替に関しても、昨日の東京市場では108円台前半まで円が「有事の円買い⁉」と意味不明な展開となったが、NY市場からの戻りで見ると109.64円と8月16日以来の水準まで円は売り戻されている。

2. 地政学的リスクの行方はまだわからない

現状では北朝鮮情勢はまだどうなるのか分からない。日米は対北朝鮮向けの石油禁輸措置を国連安保理に提議する予定だが、中露はこれに対してどう反応するのかはまだ読めないところだ。また窮鼠猫を嚙むではないが、仮に安保理決議で北朝鮮向けの石油禁輸措置が固まったとして、北朝鮮が大人しくミサイル発射を今後注視するか、核開発を止めるかなど、肝心なことは読むことが出来ない。日本の頭上をミサイルが3発も通過したというのに、有効な手立ては打てないのが現実の様だ。まだ地政学的リスクを判断基準としてポジションを傾ける判断は、どちらにするにしても時期尚早だ。

3. トラブル続きのJ-アラート、PAC3は迎撃出来る能力だったのかも不明

北朝鮮が発射したミサイルが、グアム島向けでなかったこともあり、昨日のJ-アラートは未訓練先の上空を飛んだ。昨日の報道も含めて、J-アラートは発動しなかったなどのトラブル続き、更にPAC3も意図的に迎撃を見送ったのか、見送らざるを得なかったのは、正式な発表はされていない。またJ-アラートを受けて実際の非難が出来る状況なのかも、結局は何処にも逃げられないという結果に終始しているようだ。

4. 東芝とWDの交渉は進んだのかどうか実際はわからない

当初は今月中に東芝の半導体事業の売却先が決まらないと、独禁法の審査の関係などで問題ありとされて来たが、今朝の朝刊で見る限り、WDに独占交渉権が与えられることを東芝が31日に開く取締役会で決めるという事だけで、判然としない状況が続いている。どれだけ呑気な交渉風景なのかと呆れてしまう。WD側の出資比率など肝心なところが未決定のままで、来年3月の時間切れに間に合うのかどうかは不明。しかし、敢えて言ってしまえば、監査報告書を何期もタイムリーに提出出来ず、今現在債務超過状態の東芝の上場が、この状態でも来年の3月末維持させるというのは、東証の上場維持規範とは如何なものかと考える市場関係者は多いのではないか?どうも審査基準が曖昧、若しくは緩すぎるように思われる。

5. 日銀のジャブジャブ政策の歪が顕著になってきた

金融経済面に「苦肉の金利ゼロ融資」という記事がある。これこそ、いくら中央銀行が蛇口を開いても通常の貸出先は見つからず、日銀の目指すインフレ率2%達成への貢献には役立たないことが明らかになっている。26日の朝刊一面の「閑古鳥鳴く官民ファンド」という記事と併せて読めば、日銀が蛇口を開けど開けど、そのお金は行き場なく滞り、この金融政策の効果が殆どないことが浮き彫りになっている。効いているのはETF買いで株価が支えられていることだけか?ついに新発10年国債の利回りも4か月ぶりに0.000%とゼロになってしまった。

6. 米国を襲ったハリケーンによるダメージなどについて

Wall Street Journalなど、米国系のメディアはこの数日大きくハリケーン「ハービー」の被害や影響などを報じているが、日本では殆ど話題になっている気がしない。過去の例に照らして興味深いのは、WTI原油先物がこのところ下がり基調であることだ。昨日も値下がりして46.33ドル/バレルとなっている。「ハービー」の襲ったテキサス州の沿岸には多くの原油精製施設があり、巨大ハリケーンが襲うとその操業停止や損傷の可能性を嫌気して原油先物価格は上がるものなのだが、今回は需要が減少するだろうということの方が評価され値下がりしている。とは言え、「ハービー」の爪痕はテキサス州などに大きく残されている。また米債務上限問題を巡って、トランプ大統領の「国境の壁建設予算」の話と米政府閉鎖の可能性などについても、紙面が割かれているようには思えないが、市場を見ていく上では、これらの方が余程連日一面を賑わしている東芝とWDとの話題よりも重要であることを申し添えて置く。