連載16 新入行員諸君!リスク商品でござる(投資信託の誤解_1)

新シリーズ開始にあたってはじめに

4月に新入行員として各支店に配属された新入行員諸君も、そろそろ研修の第一段階から第二段階程度まで終了して、口座の開設や諸届などはかなり出来るようになってきたことと思う。ただ今後外交を一人で担うようになった場合でも、常にこれらの業務はついて回り、更に相続や事業承継等の条件が加われば、それがちょっと変化球で飛んでくるようになるので、努々基礎の知識レベルの磨き上げには手を抜かず、引き続き、頑張って欲しい。

リスク商品販売に携わり始めましたか?

ソロソロ、皆さんもリスク商品と呼ばれる金融商品の販売を任されるようなシーンも実際に出てきたのではないだろうか?まず最初に携わることになるのはきっと投資信託であろう。寧ろ、ストレートに債券などの販売に関わる方が簡単なようにも思えるが、今はどこの銀行も投資信託の販売に力を入れている。

それは銀行の伝統的な基礎体力の元となる「利鞘商売」の部分が、この長引く超々低金利(含むマイナス金利)の中で風前の灯火となってしまい、代わって経営を支える貴重な収入源となってしまったからである。通常、投資信託を販売すれば、販売時の購入時手数料と、お客様が投資信託を保有してくださっている間、ずっと収入となる代行手数料(信託報酬の一部)が銀行収益を潤すからだ。

それも前者は約3%(税抜き)、後者は約0.7%前後(税抜き)というのが目下の平均相場であるから、銀行のトップマネージメントならずとも、支店経営層に至るまで、実に大切な収益源と捉えているというのは確かな話である。だから4月に入行して銀行の基本的な事務をマスターした頃の皆さんに、ソロソロ「販売してみないか」という声が掛かっても当然であろう。

どの商品を薦めるか?理論武装する前に

さて、問題はどういう投資信託を選んでお客様にお薦めするかであるが、そこは今までの「連載、新入行員諸君!」を読んで貰えれば、まずはお客様を投資特性を見分けることが一番大事なことだということは分かって貰っているだろうと思う。商品選択はその後の悩みであるべきだ。確かに銀行全体や支店上司が旗を振っている銘柄に見向きもしないというのでは、サラリーマン的に他の問題が生じるかも知れないので、そこは大人の対応をするしか無いのだが、変に大人の対応ばかりでその場を取り繕う必要もない。

何故なら、もしその後にトラブルが発生した場合、旗を振っていたのは誰か、銀行全体か、支店幹部かに関わらず、担当者は常に矢面に立たされていろんな思いをしないとならないからだ。言うべきことは、きちんとTPOをわきまえて言い、そして細かなホウレンソウは適切に行うこと。これが居心地よく銀行に長く務める秘訣であろう。因みに、筆者はあまり得意では無かった。ただ決して単なる頭でっかちにはなって欲しくない。実務に繋がらなければ、何の意味も無いのだから。

本題は「投資信託の誤解」

さて、本題に入るのは次回からという事にしようと思うが、今回のシリーズの問題意識は「投資信託の誤解」である。昨年12月に筆者の新著「97%の投資信託がダメなこれだけの理由」という本が発売なった。本ブログでもチラ見せコーナーを10回分ほど用意した。非常に刺激的なタイトルの付いた本ではあるが、原稿は「投資信託の誤解」というタイトルの本のつもりで書いたものである。出版時点で「書名」自体が変わることはよくあることで、事実、中の目次を開けて貰えれば、全章「投資信託の誤解」●●編というつくりになっている。

出版後約ひと月半が経ち、そこそこ感想も聞こえてくるようになったが、読者層としてかなり意識したのは新入行員諸君と、証券会社の新人の皆さん達である。だから「内容が難し過ぎる」というご指摘を頂いても居るが、金融業界の人でもきっと手応えはあるレベルになっていると思う。つまり誤解の本質を説くことで、多少知識を磨いて欲しいというのが、筆者の願いだからである。決して「安易な金儲けの仕方」を説くつもりも、「どの投資信託が良いか」などを説くつもりもなく、きっちりと自己責任を全うして自ら最良の品々を選べるようになってもらいたいという願いが込められた意図である。人数が纏まるならば現場研修に出向いても良いとさえ思っている。

ではでは、不定期に掲載にはなると思うが、「連載、新入行員諸君!」の新編を再開したいと思う。