毎月分配型投信の資金流出は低金利で今さら運用が悪化したからではない

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今朝の日経朝刊(12/04)早読み。どうしてかつては投信販売額の8割を占め、高齢者を中心に人気のあった「毎月分配型投信」が苦戦しているのか?今朝の朝刊では2017年は17年振りの資金流出になりそうだと読み、見出しには「低金利で運用悪化」と記載されている。もし百歩譲って運用悪化が原因だとするならば、それは2017年に初めて起こったことではないので低金利が原因ではない。はっきり言えば、そもそも運用は良くないものが多く含まれていた。ならば何が原因かと言えば、この2017年に起こった大きな潮流である、各金融事業者の「フィディーシュアリー・デューティー宣言」であり、運用機関の「スチュワードシップコード」の改定である。勿論、裏には金融当局が居る。その辺から紐解かないと、販売員もお客様もただただ誤解を招くのみである。

1. 【1面】毎月分配投信、17年ぶり資金流出へ 今年 低金利で運用悪化

毎月分配型の資金流出が止まらないという話だが、背景にあるのは運用環境の悪化ではない。少なくとも、殊更話題にすべきほどに足元の市場が悪いわけでは無いのはご承知の通り。要は「タコ配」に対しての睨みがきつくなり、多くの毎月分配型が当該月近辺の運用収益以上の分配を続けることが出来なくなり減配に踏み込んでいるからだ。当然こうなると「売れない」(資金流入が無い)から、他のファンドを「販売する」ために、解約などの勧めの元に資金が流出しているというのが実態だろうと思われる。しかし、そうした毎月分配方法自体、そのものは本当に悪なのだろうか?確かに「分配金利回り順位表」などを作って営業をしていた金融機関があったのは事実であり、これがあたかも運用収益からの支払いかのごとき錯覚を起こさせていたのは大問題である。FD宣言以前に、スチュワードシップコード以前に、これは運用会社としてはあってはならない。しかし一方で、毎月分配のキャッシュフロー自体を望むニーズが厳然とあるのは事実。この辺りはきっちりと整理してかかるべきだと思う。「毎月分配型投信」が悪いのではなく、「似非毎月運用収益分配型投信」が悪いのだけだ。複利効果による投資効率などという話は、後付けの理屈に過ぎないと思う。

2. 【1面】法人税、実質負担20%に 賃上げ+革新投資が条件 立地競争、米仏を意識

曰く「政府は積極的な賃上げなどに加え、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」など革新的な技術に投資した企業の法人税負担を実質20%程度に引き下げる方針だ。日本の立地競争力を高めつつ、企業がため込むお金の活用を促す。政府は賃上げや投資に前向きな企業の税負担を25%程度に下げる検討をしていたが、米仏などの減税の動きをにらみ軽減幅を広げる。」企業が払う法人税の実効税率が諸外国に比べて我が国は高いという認識がベースにあり、またその実効税率を下げることを、賃上げやIoT投資へのインセンティブにしようというのは良いアイデアだと思う。米国株が法人税引き下げの話の元に上昇したのは明らかであり、日本の株式市場などにとっても朗報の一つとなるかも知れない。

3. 【総合・政治】うつろう安倍・小泉関係 「こども保険」 距離感映す

永田町で起きている多くのポリティカル・ゲームは、フィクション、ノンフィクションを含めてメディアとしては非常に面白おかしく書き易いテーマであることは事実。それによって想定通りのポピュリズムが起これば、メディアの面目躍如である。ただ安倍首相と小泉進次郎氏の関係については、本当のところは誰にも分からないであろう。それは何も政治の世界だけの話では無く、企業でも、どこの社会でも同じ話であり、利するところに結束があり、裏切りや離反もついてくる。ましてや社会は年齢構成的に縦構造だ。これは縦割りという意味ではなく、少なからず「亀の甲より年の劫」というのは事実あり、年長者の方が手練手管に長けているケースが多いのは事実。ましてや政治家同士、いろんなやり取り腹芸があるに違いない。ひとつ言えることは、長期政権だからこそ、日本に外国人の投資家の目が向くという事だ。日替わりメニューの首相から政権交代に至ったあの暗黒時代に戻るわけにはいくまい。

4. 【社説】日本の製造業の信頼揺るがす品質不正

曰く「日本の製造業が築いてきた製品への信頼が揺らいでいる。神戸製鋼所や日産自動車などで明らかになった品質管理の不正は、三菱マテリアルや東レの子会社にも広がった。問題の根にあるものを改めなければ信頼回復はない。」という出だしだが、私の視点は社説とはちょっと異なる。こうした事態を生んだ背景には「コンプライアンス重視」として、何でも「ルール・ベース」で仕切ろうとした事があると思う。金融庁も最近では「プリンシプルベース」と、原則を提示して、あとは企業に任せるような流れに変わりつつある。素材産業の問題の中に「トクサイ」というものがあったという。つまり「トクサイ」を利用すれば、コンプライアンス違反にはならなかったわけである。恐らく「トクサイ」というものが日の目を見た頃は、日本の製造現場には厳格な職人気質の「オヤジ」が居て、管理をしていた筈だ。現在、どこの業界でも「職人気質」という自己の仕事と成果に強烈なこだわりを持つ気風は薄れていると思う。コンプライアンス的に問題なく、ルールに抵触しなければOKという判断の仕方を根付かせたことこそ、問題の本質にあるように思う。

5. 【企業総合】日銀マネー供給 鈍化が鮮明 11月、異次元緩和以降で最低

曰く「日銀の資金供給が鈍ってきた。市場に供給しているお金の量の増加額を1年前と比べると、11月は51.7兆円にとどまり、2013年4月の異次元緩和開始以降では事実上最低になった。物価がなかなか上がらない中、金融緩和の軸足は「量」から「金利」に着実にシフトしている。市場では将来の緩和縮小に向けた地ならしではないかとの見方も出ている」という。驚く話では無い。そもそも量だけの緩和でインフレが起こせるというのが無理な発想であり、記事にもある通り「日銀は2%の物価目標の達成時期を19年度ごろとするが、政策委員の過半は「下振れリスクがある」とみていて当然である。要は持久戦への備えが始まっているということではないだろうか?