トランプ大統領訪中の真の意図は「対中貿易赤字の是正」

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今朝の日経朝刊(11/9)早読み。米国トランプ大統領の日本、韓国、中国への歴訪が終わり、その成果が今後議論されるところだが、米国メディアを見ている限り、どうやら一番の目的は「北朝鮮情勢の安定化」では無いように思える。歴訪先で繰り返し主張していたのは、貿易不均衡の是正であり、米国メディアは主としてその成果について論じている。だからこそ批判的になっているものが多い。取り分け、最後の中国では、金額だけはアドバルーンのようだが、内容は実効性確保がまだのものが多い。きっとエアフォース・ワンの中のトランプ大統領は不機嫌だったに違いない。

1. 【1面】米中、圧力継続で一致 首脳会談
【国際1】米中首脳会談、習氏に軍配 米メディア、トランプ氏に批判的
【総合2】北朝鮮包囲網 残る濃淡 米大統領歴訪
【総合1】習氏、戦略したたか トランプ流外交に危うさ

トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は9日の会談で、北朝鮮への圧力を継続して核兵器を放棄させる方針で一致した。北朝鮮制裁では、トランプ氏が経済関係の遮断など強硬策を求めたのに対し、習氏は対話路線を主張。具体策をめぐる温度差が改めて浮き彫りとなった。一方、9日の米中首脳会談から見えてきたのは、10月の中国共産党大会をへて国内で1強体制を固めた習近平国家主席が、米国と対等に渡り合う「大国外交」に自信を深める姿だ。米企業との約2500億ドル(28兆円)におよぶ商談をぶら下げ、米中のトゲになっている貿易不均衡の問題でトランプ米大統領の攻勢を封じたが、その内容は「覚書」や「協議書」が大半で知的財産権の侵害など構造問題は手つかずのお粗末。これを受けてか、米国のメディアは一様にトランプ氏に今回の成果に批判的。確かに、日本では「北朝鮮問題」が主要テーマと言われているが、米国メディアを見る限り、主目的は「対中貿易不均衡の是正」にあったと思われる。その意味では、トランプ氏の訪中は大きな成果を残せていない。

2. 【1面】TPP11、大筋合意 米抜き、自由貿易推進

環太平洋経済連携協定(TPP)に参加する11カ国は9日、米国を除く新たな協定を締結することで大筋合意した。米離脱前にまとめたオリジナル版のTPPのうち、ルール分野では一部の項目を凍結する一方、関税撤廃の約束はそのまま残すことで折り合った。米国抜きでTPPの経済規模は当初より大きく縮むものの、アジア太平洋地域で新しい交易の軸となる初のメガ通商協定が誕生する。米国抜きのTPPにどれだけ価値があるかは議論の余地を残すが、アジアでの通商権益争いが米国と中国のパワーゲーム一色になることを避けたい日本は、多国間の枠組みを残すため11カ国での復活に奔走した。その成果は評価出来る。

3. 【1面】「所得税改革、3年で」 宮沢自民税調会長 多様な働き方後押し

宮沢氏は「今年は基礎控除と給与所得控除の見直しを議論する」と表明した。所得税改革は課税所得の計算にあたり一律38万円を差し引ける基礎控除や給与から一定額を差し引く給与所得控除を見直す大がかりなものとなる。ベースにある考えは、税率は所得額につれて高くなる累進構造になっており、高所得者ほど控除の恩恵が大きくなるという発想だが、これを不公平と捉えるのは、そもそもの所得税の累進構造自体が公平か不公平かの議論を済ませてから行う議論であるべき。累進構造自体が不公平だという議論があって、ただ給与所得控除は高所得者を減ずるべきだろうというのならば筋は通る。取れるところから取る、という政治の安易な何も努力の無い課税方式の考え方には大きな疑問が残る。高所得者の働く意欲を削ぐだけだ。

4. 【金融経済】歴史の証言者たち(4)「税金投入を」日銀の声届かず

内容的には元日銀マンの日銀側弁護の話ではあるが、96年からの北海道拓殖銀行の破綻や山一證券の話など、時系列がちょっと頭の中で再整理出来る記事。

5. 【国際1】ベネズエラ、債務深刻化 ロシア支援も焼け石に水

南米ベネズエラ政府の債務問題が深刻さを増している。マドゥロ大統領が対外債務の整理を目指すとした宣言を出してから9日で1週間となるが、これまでに協力を表明したのはロシア政府のみで、債券を保有する欧米の機関投資家は協力する姿勢をみせていない。次回の利払い期限や債券保有者との交渉日が迫るなか、市場はデフォルト(債務不履行)の可能性を織り込みつつある。ただ仮にデフォルトになっても、市場の動揺はそう大きくはならないだろう。

6. 【企業2】ユニ・チャーム、ベビー大国で紙おむつ増産 インドに第3工場

ユニ・チャームはインドで紙おむつの新工場を建設し、2018年春に稼働させる。という記事の本旨よりも驚くのは、ユニセフ集計によるとインドの年間出生数は世界最多の2500万人超だという事実。経済発展に伴い紙おむつを使う世帯が急増しており、生産拡大で「赤ちゃん超大国」の需要を開拓するということ自体は、ユニ・チャームの中国での成功の方程式だが、日本の人口の約1/5の赤ちゃんが毎年誕生しているということ。加速度的にインドのGDPは伸びるだろう。人口動態から見ると衰退の絵しか描けない日本からすると、羨ましい出生率だと言える。