【特報】北朝鮮・地政学的リスクが増大!

今朝の日経朝刊(8/29)早読みの原稿執筆時に、朝刊には当然間に合っていない北朝鮮が再びミサイルを発射し日本の上空を通過、襟裳岬東に落下との一報が入った。今朝は日経の記事解説より、まずはその影響を考えたい。結論は当面は「Very Cautious!」な対応が必要だ。

1. 伝えられた事実

北朝鮮による弾道ミサイル発射は5時58分ごろに発射され、6時6分ごろ北海道襟裳岬上空を通過した。6時12分ごろ、襟裳岬の東1180キロメートルの太平洋上に落下した。現時点では航空機や船舶などの被害は確認されていない。これを受け菅長官「我が国の安全保障にとってこれまでにない深刻かつ重大な脅威だ」と発表した。

2. 本命は米国ながら、当て馬にされる日本

「グアムに向けて3発のミサイルを発射する」と米国を威嚇挑発しておきながら、日本海向けにしか事実上発射を出来なかった北朝鮮ではあるが、今回は完全に日本の領土北海道を跨いで飛んでおり、仮に「航空機や船舶などの被害は確認されていない」としたとしても、これこそ正に領空侵犯であり、万が一にも部品の落下や、想定外のエンジン不調で陸地に着弾する可能性が無かった訳ではない。日本は完全に米国向け威嚇挑発の当て馬にされている状況だ。

3. 迎撃措置は発表によると「取らなかった」ようだが・・・

政府は迎撃措置を取らなかったとしているが、「取らなかった」のが本当なのか、「取れなかった」が本当なのかは明確にして欲しいところだ。発射の僅か8分後には襟裳岬上空を通過し、発射後14分後には襟裳岬の東1180キロメートルの太平洋上に落下している。この14分間の間で、イージス艦や地上に配備された高射砲部隊がPAC3で迎撃することが事実上可能だったのか?可能ながらも「素通り、見送れ」という判断があったのかどうか?これは「頭を抱えてうずくまる避難措置」とBBCに揶揄された方法さえも取り切れない状況は無いだろうか?

4. 政府は発射直後、全国瞬時警報システム「Jアラート」を鳴らし非難を促す

発射直後という事であれば5時58分~6時ぐらいであろう、「Jアラート」のサイレンが鳴ったとして、当該地域の人の何%が避難出来たであろう。ましてや今回は先頃避難訓練を行った中国地方や四国地方ではない。北海道だ。早朝にけたたましいサイレンらしきものを聞いた住人の方々が、「あれはJアラートだ!早く非難を」と言って動けたかと言えば、十中八九答えはNoであろう。何せ6時6分、すなわち「Jアラート」が危機を伝えた僅か6分後には上空を通過しているのである。正直、何も出来ないのが実際だろう。もしこれが都市部であった場合、通勤電車は緊急停止までは出来るかも知れない。でもその後、安全な場所に逃げ込む時間は物理的に考えて全くない。

5. 冷静に考えれば安全通貨として有事の避難先にはならず

しかし外国為替の動きはどうにも解せない。北朝鮮のミサイル発射報道時、109.10円前後をつけていたドル円は、7:20には108.40円まで円高に振り、現時点(8:32)108.78円である。所説当事国の通貨が買われる理由が講釈されているが、どう考えても私には円を買う理由は見つけられない。同様に、円資産を保有していることには一抹の不安を禁じ得ない。今朝の東京市場は大きく下落して始まるのではないか?

6. 米国と北朝鮮の会話成り立つなり、何らかの終結が見えるまでは要注意

ファンドマネージャーをしていた間に2度の湾岸戦争、その他の小競り合いを含むと、相当数の有事を市場関係者として過ごした経験から言えば、解決の糸口(湾岸戦争時にパトリオットミサイルが飛んだような)が見えるまでは、市場は情報に一喜一憂の動揺を続ける。たとえそれが数か月間に及ぼうともだ。その間については投資スタンスは極めてCautious(注意深く)であるべきだと思う。努々、バーゲンハンティングなどしないように。狙われている先では無いかもしれないが、頭上をミサイルが飛び交う国の通貨やリスク資産を安全に思って買う理由は無いからだ。そして、この先、米朝双方が一旦は矛を収めそうなことになって初めて、再び円資産を買うことが出来るようになる。過去の戦争では、市場はそう教えてくれた。