投信の新しいもの好きなのは、日本の特徴?

今朝の日経朝刊(8/25)早読み。販売会社がリードするのか、投資家の好みの反映なのか、日本の投信業界はやっぱり新しい物好きだ。

1. 「AI投信、安定収益で成長」って、トラックレコードの確認はどうやったのか?

金融経済面に人工知能(AI)が運用する投資信託に資金が流入しているという。確かに本年1月には100億円弱程度の残高だったものが、8月中旬時点の残高は4千億円超と、半年間で2.9倍に増えている。残高増加のチャートを見ると、結構な勢いのように見える。そこで記事で紹介されている「GSグローバル・ビッグデータ投資戦略」と「AI日本株式オープン(絶対収益追求型)」という2ファンドについては交付目論見書と月次運用報告書にザっと目を通してみた。正直な感想は「やはり日本の投資家は勇猛果敢なんだ」ということだ。若しくは「新しい流行りもの好き?」ということ。何故なら、鳴り物入りでデビューしたであろうAIファンドマネージャーの運用成績は、現在までのところ、ずば抜けて芳しいとは決して言えない。

(ア) やはり販売会社の力の証左か?

半分以上は販売現場(販売会社)に対する皮肉を込めていると敢えて言っておくが、消費者(ここでは個人投資家とは呼びにくい)これだけの説明でよくこうした新しいスキームのファンドに飛びつけるものだと驚いてしまう。販売会社が腕力で販売する時代は終わったと聞いていたのだが。「AIはビッグデータの分析とディープラーニングが得意です」という謳い文句はよく聞くが、果たして投資判断をさせるための何をビッグデータとして集め(他社の最新のリサーチレポートまで本当にリアルタイムで集められるのか?)、ディープラーニングするのはどんな内容なのか?その結果で株式市場の動向の何が判明し、それが投資にどう反映するのか?正直非常によくわからない。

(イ) ベンチマークの無い「絶対収益追求型」のファンドだが・・・

「AI日本株オープン」の方は、「絶対収益追求型」を謳い、上下に振れるベンチマークをトレースするパッシブ運用でも無ければ、ベンチマークをアウトパフォームすることを狙うアクティブ運用でも無い。言い換えれば「株式市場の上下変動に関係なく、プラスの収益を稼ぎ出します」と言っている。だが、運用報告書で見る限り、2月の設定時から7月末までの間「絶対収益」が上がった期間はそう多くない。昨日時点の基準価額は9,951円と設定から約半年たった今現在でも元本割れしている。

(ウ) AI(人工知能)という語感からくる誤解

確かに世の中AI(人工知能)のことがメディアではよく取り上げられている。シンギュラリティが来るなどという話もまことしやかに語られている。ただ、トラックレコードもまだ充分ではない段階のファンドがここまで残高を伸ばせる理由は本当に消費者の自己責任による商品選択であったのだろうか?常に目新しいものを作ることは否定しない。ただAI(人工知能)がファンドマネージャーに置き換わっているというのなら、新人ファンドマネージャーの能力査定には、今の技術レベルの場合、もう少し能力査定に時間が必要ではないか。現時点で運用報告書を見ると「なるほど流石AIの分析は違う」というパフォーマンスを残しているとはあまり見て取れない。筆者としてはただただAIが期待されている通りの優秀なファンドマネージャーであることをただ願うばかり、Good Luckである。

2. 連日東芝とWDのことが取り上げられているが・・・。

今日も朝刊一面には「東芝、売却2兆円を軸に」という見出しで、3面には「サムスン対抗復縁狙う」という見出しで、この問題が取り上げられている。昨日の報道の段階ではWDの提示価格は1兆9000億円だったので、1面通りだとすると、東芝の皮算用は1,000億円値上がりしたことが分かる。ただWDの出資比率なども含め、まだ決議すべき項目は沢山あるように見える。本当に時限内に決着するのかは疑問が残る。

3. ユニー・ファミリマートホールディングスはドンキに擦り寄る

昨日、イオンがインフレ率見通しに関係なく値下げを実行すると報じられていたが、今朝は総合スーパーのユニーがドンキHDから40%の出資を受け入れ、その集客能力をあてにするとある。記憶にない方も多いと思うが、ドンキの黎明期には、その派手な店舗装飾などを地元住民が嫌い、また渋滞を興す要因となるなどで、ドンキの出店にはよく困難がついて回った。ただ現状ではご存知の通り、あちらこちらでドンキのお店は目にするようになった。これすなわち、消費者の志向が低価格にあることの証左に他ならない。

(ア) GUが苦戦しているのは、低価格志向が変わった証左ではない

また一方では、ファーストリテイリング傘下の低価格衣料品店「ジーユー(GU)」の失速が報じられているが、決して消費者の低価格志向が変わったというわけではない。問題は商品戦略だ。グループの「ユニクロ」とのカニバリズムも関わっている中で、スウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)と「ZARA」を展開するインディテックス(スペイン)という世界2強との戦いもある。これがもし、ファストファッション離れの兆しというならば話は別だが、GUが取れる戦略の選択肢に値上げがないことだけは明らかだ。寧ろ、「ガウチョパンツ」などの一本足打法から脱却し、更にマーケティング方式を変え、そして消費者に魅力的な価格をより追求する。ブランド品を背伸びして購入したバブル期とは様変わりの消費行動の中で、日銀のインフレ率2%の目標達成には多くのハードルが立ちはだかるように思える。